用於物聯網的14納米Intel® Atom™處理器

2016年10月,英特爾推出了首批專為物聯網及其嵌入式應用設計的14納米晶片。 這些處理器——統稱為Intel® Atom處理器E3900系列——具備許多工業、視訊及其他應用(見圖1)所需的全新特性。英特爾還推出一款名為Intel® Atom處理器A3900系列的汽車專用處理器。



圖1. Intel® Atom處理器E3900系列具備物聯網邊緣裝置所需的卓越性能和全新特徵。

本文將展示該處理器系列——包含Intel® Atom、Intel ® Pentium®、Intel®Celeron®處理器——的全新特性是如何滿足物聯網及其嵌入式設計的需求。 同時我們還將研究三款先期產品,這些產品是英特爾®物聯網解決方案聯盟利用這一全新平臺設計出來的。

滿足物聯網未來的邊緣需求

14納米制程,針對嵌入式/物聯網而設計,Intel® Atom™處理器E3900系列為使用者帶來了許多顯著優勢:

更出色的性能和I/O。Intel® Atom™處理器E3900系列的計算能力與上一代相比提升1.7倍。 提供雙核及四核設計,處理速執行速率高達2.0 GHz(使用Intel®Celeron®和Intel ® Pentium®處理器SKU甚至更高)。

儲存速率和頻寬也有所提升,支援高達LPDDR4 2400。6個USB 3.0介面和4個串列匯流排(PCIe*)介面(6條線路)擴展了高速連接能力,同時也減少了對外部插孔的需求。

升級圖形。全新的圖形引擎使3-D圖形性能達到上一代的2.9倍。 這些處理器還具備低光色處理和多幀技術增強圖片處理能力。

英特爾®時間協調計算技術(Intel® TCC Technology)。對於一些需要確定性的應用,這一特性能夠同步週邊及連網裝置網路。 同時還實現了1微秒(1 ?s)的時間精度,解決應用中存在的延時問題,如機器人製造等。

更安全。全新的英特爾®可信執行引擎(Intel® TXE)能夠更好地保護資料與操作安全,即使在作業系統被破壞的情況下,也能防止資料被駭客盜走。 Intel® Boot Guard 2.0等功能強化了安全啟動,同時還進行了諸多安全升級,如新密碼指令Intel® SHA-NI擴展。

更可靠。使用DDR3L時提供雙通道ECC記憶體可用,有利於防止出現一位元記憶體錯誤。 接面溫度在-40°C到110°C之間,可拓寬工業用環境的範圍,特定的SKU完全勝任汽車應用。

邊緣快速強勁的處理能力與感測器集成

聯盟成員提供的採用Intel® Atom™處理器E3900系列的三款新產品在實現更智慧的邊緣及霧裝置中,均展示出卓越的實用性和靈活性。

Axiomtek ICO100 DIN-Rail無風扇工業系統

DIN-rail無風扇嵌入式系統採用Intel® Atom處理器x5-E3930和DDR3L SO-DIMM卡槽,其記憶體容量高達8 GB,為智慧工廠自動化和智慧能源提供了強有力的解決方案(見圖2)。



圖2. AxiomTek ICO100採用Intel® Atom處理器x5-E3930為智慧工廠自動化和智慧能源提供強有力的解決方案。

ICO100體積僅31 x 100 x 125 mm,為工業物聯網閘道提供了一種緊湊的解決方案。 它包括2個RS-232/422/485埠、2個USB 2.0埠、1個吉比特乙太網介面、1個VGA介面、1個DIO介面。另外,還有2個PCIe迷你卡槽,一個是mSATA儲存卡,另一個是3G/GPRS/Wi-Fi介面。

該裝置結構堅固,可承受-20°C到70°C的溫差,防震能力達到2G,即使面臨惡劣環境也可照常運作。 直流電源輸入電壓界於12V-24V,包含一個針對工業自動化應用的可鎖定外部塊式連接件。 過電壓和反向保護降低了重要資料損失的風險。

超微型超級伺服器5029AP-TN2迷你塔式主機殼

這款迷你塔式主機殼搭載了Intel® Atom處理器E3940,在緊湊的機身內整合了大量電源和I/O功能(見圖3),主要用於通訊、圖像列印、零售及工業應用中。該產品具有8GM無緩衝non-ECC DDR3、4個3.5″熱插拔硬碟托架及2個2.5″固定硬碟托架。



圖3. 超微型超級伺服器5029AP-TN2搭載Intel® Atom處理器E3940,在緊湊的機身內整合了大量電源和I/O功能。

USB埠包括4個USB 3.0(尾部)、1個USB 2.0(A型)以及2個透過排針進行連接的USB 2.0。 雙GbE LAN Intel i210-AT控制器可提供高達1000BASE-T的網路連接選項。PCIe選項包括1個PCI-E 3.0 x16插槽、M.2 PCIe 3.0 x4 (M-key 2242/80)及1個支援mSATA的迷你PCIe插槽。

這款迷你塔式主機殼提供VGA、DP(顯示埠)、HDMI和eDP顯示埠。 為保證更加安全,還提供TPM 1.2。

IBASE IB811單板電腦(SBC)

為滿足不同的電源與性能需求,IB811 SBC包含一系列新的處理器(見圖4)。它不超過3.5英寸的磁片,可以和Intel® Atom處理器x7-E3950、x5-E3930、Intel ® Pentium®處理器N4200或Intel®Celeron®處理器N3350一同訂購。此款SBC還包括2個記憶體插槽,支援高達8GB的DDR3L-1866/1600 SO-DIMM模組。



圖4. IBASE IB811是一個不超過3.5英寸的單板電腦(SBC)。

IB811支援寬泛的工作溫度(-40°C 到 85°C)。9V~36V寬電壓輸入使其能夠勝任有不同電壓輸入要求的惡劣工業和車載應用。為符合EuP/ErP標準,IB811支援iSMART綠色科技進行掉電檢測、電源開/關調度以及低溫監測。

IB811支援3個高達4K的同步顯示幕,其介面有1.4b HDMI、DPI和eDP/24-bit雙通道LVDS。

後邊I/O為1個COM、1個顯示埠、1個HDMI、2個GbE以及4個USB 3.0。該主機板還透過排針支援2個USB 2.0介面和4個序列埠。其他I/O包括全尺寸迷你PCIe卡槽和M.2 (B-key)介面。

這僅僅是開始

這三個例子只是採用全新處理器的諸多解決方案中的一小部分。 想要瞭解更多使用這些處理器的系統主機板,可參見聯盟解決方案目錄

フォグの性能を高める

2016年にABIリサーチが発表した報告書「Edge Analytics in IoT(IoTにおけるエッジ解析)」によると、モノのインターネット(IoT)が生み出すデータはわずか10%しか活用されておらず、詳細な解析が行われるデータはさらに低い割合に留まっています。多くの組織がクラウドを仮想の究極的なデータ集積ポイントとして目標を定めつづけ、この情報をビッグデータ問題として扱っています。

このようなアプローチは、2つの点を見落としています。一つは、多くのIoTソリューションがリアルタイムなビジネスインテリジェンス(イベント発生と同時の解析、決定)を要求しており、クラウド解析ソリューションに特有のレーテンシーには対応できないのです。もう一点は、ABIの2つ目の報告書「Internet of Everything Market Tracker(”全てのインターネット”市場の追跡)」によると、2020年までにIoTは400億もの接続されたデバイスを包含するのです。この爆発的な成長でクラウドリソースは覆い尽くされ、解析をフォグレイヤーへ押し進める新たなIoTアーキテクチャが必要となります。

本記事は、インテリジェントなエッジデバイスとゲートウェイを利用した解析を行い、結果をクラウドに集積する高度なエッジベースソリューションについて検討します。この革新的な解析アーキテクチャが、どのように問題を特定し、リアルタイムなアクションを取る効果的なソリューションを生み出すかを検証します。Intel® IoT Gateway Technologyを採用することによるパフォーマンス、スケーラビリティ、安全性、接続性の利点を議論します。さらに、Wind River Helix* Device CloudがIoTソリューションで使用されるデータ、デバイスおよびシステム管理の支援に果たす役割を検証します。

クラウド単体でのIoT解析アプローチに潜む落とし穴

予知保全は有用なIoTアプリケーションです。予定外のメンテナンスを予防し、機能不全を軽減する目的でIoT解析を使用すれば、コストを節約し、システムダウンタイムを最短化、サービス中断を防ぐ事が可能になります。

IoT解析を予知保全に使用するにあたって最大の課題となるのは、IoTデバイスが生成する膨大なデータの管理です。前出の報告書「Edge Analytics in IoT(IoTにおけるエッジ解析)」は、IoTに接続されたデバイスにキャプチャーされるデータが、2014年の233EB(エグザバイト)から、2020年に1,600EBを突破する成長を遂げるという初期の予想を引用しています。

この指摘を感覚的にとらえるためには、南カリフォルニア大学のデータ研究者が2011年に試算した世界のデータストレージ容量はたった295EBであったことを考えるといいでしょう。データストレージの容量は持続的に拡大していますが、データを収集する能力の成長はさらに早く、クラウド単体のアーキテクチャに莫大な負荷がかかっています。IDCのプレスリリース「IDC Reveals Worldwide Internet of Things Predictions for 2015(IDCが読み解くワールドワイドなモノのインターネット予想2015)」では、2018年までに50%のITネットワークがIoTデバイスによる容量超過からネットワーク規制に移行すると予想しています。

クラウドモデルは、予知保全の実装という別の問題も提出しています。低い手数料収入で経営するトラック運送会社は、コスト削減のために携帯電話の接続を可能な限り抑える必要があります。集合型風力発電所、石油やガスの採掘プラットフォーム、農業機械、その他のリモートな事業でIoTに継続的に接続させるための実装は難しく、高い費用が必要となります。

エッジの解析力

クラウド単体の処理への依存を低減するソリューションは、データソース自体に見出すことができます。それがエッジ解析です。

Predixion Softwareのような解析ソフトウェア企業はムーアの法則がエッジデバイスとゲートウェイにもたらしてきた処理キャパシティという利点を多くのIoTソリューションが利用し損ねていることに注目しています。このようなデバイスとゲートウェイは、ほんの2、3年前に販売されていたPCに匹敵するほどの処理力を備えています。Intel® Quarkプロセッサーのような低電力消費チップでさえ、Predixion RIOT*のようなビジュアルエッジ解析ソフトウェアを稼働させることができます。

今日のエッジにおける議論でもっとも重要なのは、何がエッジでの解析を正確に定義するのかという点です。Predixionはエッジ解析をエッジデバイス上のアクチュアルな処理と定義しています。エッジでデータを収集および保管した後、処理のためにデータをクラウドに転送するのではありません(図1)。


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Figure 1: クラウドベースの解析(左)とは対照的に、Predixionはエッジベース解析(右)をエッジデバイス上のアクチュアルな処理と定義しています。エッジでデータを収集した後、処理のためにデータをクラウドに転送するのではありません。

エッジで解析処理を行うことで、リアルタイムなインサイト獲得が実現します。エッジ解析はクラウドへのデータシェアを阻害する帯域幅制限、リモート接続の課題、政府の指令から、接続されたアセットを解放する側面もあります。さらに、エッジ解析はクラウドリソースをエグゼクティブレベルのインサイトに必要なビッグデータ解析のために確保する上で役立ちます。

包括的なフォグソリューション

Predixion RIOTはエッジのデバイスとゲートウェイで動作するビジュアルエッジ解析ソフトウェアの高度なファミリーで、インテリジェントなフォグレイヤーを利用することにより幅広いアセットの不都合なイベントや機能不全を予測します。Predixion RIOTを使用する組織は、アセットをリアクティブにメンテナンスする体制からリアルタイムのエッジドリブンなビジュアル解析に基づく予知保全へと移行します。

Predixion RIOTの使用は簡単で、細かな設定を必要とせず、顧客に即時の値を提供します。RIOTのワンクリック解析の実装によって、ODMとOEMは予測モデルを作成するデータ担当者なしにIoTデバイスへのストリーミング分析を追加することが可能になります。

Predixion RIOT製品ファミリーは接続環境、部分的な接続環境、非接続環境をサポートしており、ネットワーク通信接続が遅いまたは途切れがちな状況でもリアルタイムな意思決定が可能になります。この製品ファミリーには3つのソリューションが含まれます。

  • Predixion RIOT Nano* – 小型デバイス向けの組み込みエッジ解析プラットフォームです。小型デバイス上でリアルタイムなビジュアルエッジ解析とパターン検出を行います。
  • Predixion RIOT One* – Javaベースの組み込みエッジ解析プラットフォームです。ゲートウェイに実装することで、接続されるすべてのIoTデバイスのデータに基づいたリアルタイムなビジュアルエッジ解析とパターン検出を行います。
  • Predixion RIOT Enterprise* – クラウドベースのエッジ解析プラットフォームです。クラウドに実装することで、接続するエッジデバイスとゲートウェイが行うすべてのリアルタイムビジュアル解析を表示します。

即時のビジネスインテリジェンスを想定して設計されたPredixionの軽量マイクロサービスアーキテクチャが、IoTバリューチェーンのすべてのレイヤー(小型デバイス、ゲートウェイレベル、クラウド)のインサイトを実現します。VxWorks、a Linux* distribution、Microsoft Windows* 10など、プラットフォームが採用するRTOSのタイプに関わらずPredixion RIOTは動作することができます。

エネルギー産業の例

電気自動車(EV)は従来の炭素系燃料で走る自動車への主要な代替手段として存在感を現しています。しかし、その制限要因となっているのが手軽に利用できる充電ステーションの不足です。Predixionの顧客であるFreeWire TechnologiesはMobi* ChargerによってEVへのエネルギー補充を変革しつつあります(図2)。


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Figure 2: Mobi Chargerはリサイクルされたバッテリーをコンパクトカートに積んでおり、駐車場やガレージの車両まで車輪で移動させることができます。

このようなモバイルバッテリー充電装置は自動車をオンプレミスの充電に向けて走らせるものです。Mobi Chargerは充電の都度支払うサービスとしても、環境に配慮した実践にインセンティブを与えるための無料サービスを提供する形でも成立させることができます。Mobiの技術は、再調整したEVバッテリーを利用することでグリッドに影響を与えることなく迅速なチャージステーションを提供するものです。

Mobi Chargerはオフピーク時の夜間に再充電され、料金が上がる日中に放電するため、消費者のエネルギーコストを削減します。各Mobiユニットはモニターされる必要があり、十分なモバイル性を備えているため、FreeWire Cloud Managementプラットフォームに通信するワイヤレスゲートウェイに装着されています。このゲートウェイで、FreeWireのオペレーションチームは効率的に充電装置をモニターして実装することができます。

IoTデバイスであるMobi Chargerはクラウドプラットフォームにデータを送信します。各装置が生成するデータは、充電の挙動に関するインサイトを得るために精査されます。十分なデータがあれば、FreeWireは特定の車両が何曜日、あるいは毎月何日にどの程度充電するかを予測できます。さらに特定の場所にあるすべての電気自動車を横断した集約ビューから、期待される需要の合計を予測することもできるのです。時間帯別料金の詳細な情報と組み合わせれば、Mobi Chargerの充電と放電を最適化して利用者のエネルギー料金を最低に保ちながら自動車を充電させておくことが可能になります。

現在の環境で、Predixion RIOTは理想的なソリューションを供給しています。各充電装置からクラウドにローデータをストリームする代わりに、RIOTはIntel IoT Gateway Technologyを採用したゲートウェイでリアルタイム解析を行います。この解析から発生した実行可能なインサイトによって、イベントや異常値に関するタイムリーで有意義なビューが利用できます(図3)。


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Figure 3: Predixion RIOTの解析で、モバイル充電装置群全体から、イベントや異常値に関するタイムリーで有意義なビューを利用できます。

複雑なパターン検出とフィルタリングを通じて、FreeWireは充電パフォーマンスを見直し、また異常値を検出するリアルタイムなビジュアル解析を受け取ります。異常値が検出されると、RIOTはクラウドにあるリアルタイムおよび過去のデータと比較します。その結果から、Mobiのサービス中断と保証問題を回避させることのできる修理案が導き出されます。

エッジデータをイミディエート値に転換するゲートウェイテクノロジー

ビジネスがPredixionのRIOTを採用するIoTソリューション導入に頼ることでゲートウェイ設計のベースにIntel IoT Gateway Technologyを用いる組み込みコンピューティング企業の数が急増しています。これらのソリューションは優れたパフォーマンス、接続性、セキュリティをエッジのインテリジェンスに提供します(図4)。ゲートウェイによってリアルタイムでの解析、タイトかつより効率的なプロセス制御が可能となり、データ送受信のコストを下げることができます。


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Figure 5: この基盤の要素の1つとなるWind River Helix Device Cloudは、大規模なデバイス実装の構築とロールアウトの複雑さを大幅に軽減して組織を支援するIoTデバイス管理プラットフォームです。

フォグを可能にするチームアプローチ

世界がデータで溢れ、そのデータを扱うネットワークやクラウド、資金的リソースの不足に直面する状況にあって、Predixion RIOTのようなソフトウェアはIoTエッジ解析を行うために不可欠な存在です。Predixion RIOTは故障が発生する前に適切なメンテナンスと機能不全の軽減を実施してコストを節約し、オペレーションやサービス中断の機会を最小化します。IntelとWind Riverによるテクノロジーをソリューションに採用することで、エッジからクラウドまでのベストパフォーマンスを確保することができます。

Predixion RIOTについては、intel.com/SD-predixion-riotをご覧ください。

接続された、セキュアなエネルギーソリューションについて詳しくは、intel.com/embedded-energyをご覧ください。

Predixion Software(intel.com/MR-predixion)はIntel Internet of Things Solutions Allianceのアソシエイトメンバーです。カリフォルニア州アリソ・ビエロを拠点とするリアルタイムエッジ解析ソフトウェア企業のPredixionは、解析にはよりスマートで、安全、健康的な世界を生み出す力があるという信念から創立されました。このビジョンを達成するため、Predixionはリアルタイムで高度な解析をデバイス、ゲートウェイ、ルーターにもたらしてネットワークのエッジのリアルタイムデータをレバレッジするエッジベース解析プラットフォーム、Predixion RIOTを開発しました。IoTnoデータをデータレイクにドロップしてエッジからのデータをクラウド解析するという多くのビッグデータソリューションとは異なり、Predixion RIOTソリューションはエッジで直接IoT解析を行うことで、即時のインサイトを提出します。

予知保全による工場の順調操業

業分野におけるモノのインターネット(IIoT=Industrial Internet of Things)の近年の導入は、ビジネスインサイトの獲得をクラウドソリューションに依拠しています。しかし、工業アセットマネジメントを改善しうる最も可能性の高いデータは、利用されずに工場の床に放置されています。多くの企業がこのデータに目を向け始め、デバイスをライフサイクルに渡ってより良く管理するためにデータを獲得、分析する方法を探しています。

本記事は、工業アセットマネジメントと予知保全の導入におけるIIoTテクノロジーの利点を取り上げます。DLINK、IBM、Intel、PrismTech(ADLINK関連企業)のコンポーネントを統合する分散解析を特に詳しく見て行きます。半導体工場の例から、IIoTのソリューションがどのようにメンテナンスコストを下げ、また効率を上げ、装置の寿命を長期化するかを考えます。次に、各コンポーネントがどのようにアッセットマネジメントに貢献し、その「不正確」の科学を正確なものに変えるかという点を検証します。

アセットマネジメントという世界

アバディーングループのアナリストインサイト調査「アセットマネジメント ― 予知保全の変化する状況(“Asset Management: The Changing Landscape of Predictive Maintenance”)」は、経営陣が経営の最大のリスクが重要な物理アセットの機能不全にあると考えていることを報告しています。工場ラインのモーション制御ユニットや、変電所のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)、採掘場の掘削機など、何がいつ機能不全に陥るかわかりません。故障すれば、大変なことになります。

製造効率の改善と品質の向上は、企業の競争的優位性を底上げします。故障、品質問題による中断、タイミングの悪いメンテナンスといったすべては生産性と売上に悪影響を及ぼします(図1)。予定外のダウンタイムは結果として契約の失効や環境と安全への脅威、製品の不足を招きます。こういった各状況は、売上や企業の評判に大きな悪影響を及ぼします。


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Figure 1: 故障、品質問題による中断、タイミングの悪いメンテナンス…これらすべては生産性と売上に悪影響を及ぼします。

効率と品質を改善するIIoTソリューションを用いるにあたって、企業は大きなチャレンジに直面します。孤立したネットワークで稼働する多くの工場あるいは現場装置は、インターネットに接続して管理者のコンピューターデバイスにデータを送信するよう意図されて作られていません。さらに、今日のIIoTの対話の多くはデバイスツークラウドの導入にフォーカスしています。アプリケーションによっては、すべてのデータをクラウドに移動することはコスト効率に優れている、あるいは望ましいとは言えません。

このソリューションとなるのが、エッジでのデータ処理です。幸運にも、IoTソリューションへの需要がオンプレミスや、デバイスツーデバイスまたはM2M(マシンツーマシン)の通信、フォグコンピューティングと呼ばれる分散解析の発展を促進しています。ミリ秒やマイクロ秒のデータ配信を要求する導入が、特にエッジコンピューテーションを必要とします。

最適化の道

より優れたアセットマネジメントへの需要に応えるべく、ADLINKやIBMといったIntel®モノのインターネットソリューションアライアンスが共同でフォグコンピューティングを取り入れるソリューションに取り組んでいます。このようなソリューションは経営にとってクリティカルなIIoTの実装に対応する分散解析へのニーズを捉えています。

分散解析を利用した予知保全を導入することで、部分的な故障による遅延や損失を回避し、装置の稼働時間を最大化することが可能になります。このようなソリューションは、すぐにアクションできるようローカルなデータを現場で分析し、その後フィルターされたデータや結果、その両方をオンプレミスのエッジコンピュートノードやバックエンドアプリケーション、プライベートやハイブリットのクラウドなどに配信します。機械学習や他の技術は、オペレーションデータの履歴をさかのぼることができます。例えばメンテナンスと修理の履歴、稼働条件、その他のトレンドの履歴を分析することで摩耗を予測したり、サービスやリプレイスのスケジュールをを最適化できるのです。

予知保全のための分散解析ソリューション

ADLINKはIBMと協力して物理的なアセット、オペレーション、プロセシングのためのIIoT最適化に向けた統合的アプローチを提唱しています。ADLINKのPMQiソリューションとIBMのPMQ(Predictive Maintenance and Quality、予知保全と品質)アナリティクスプラットフォームは、実装が容易でない環境で顧客が予知保全アプリケーションを実装する作業を簡略化するものです。このソリューションは幅広い産業に対応し、それぞれが複数のデータポイントを継続的にストリームする何万というモノのモニタリングに対応するため、容易にスケールできます。

PMQiはリアルタイムで複数のデータソースにアクセスし、アセットの故障や品質の問題を予測することでコストのかかるダウンタイムを組織が回避できるよう支援します。エッジコンピュートノードを走る予測解析によって、このソリューションはアセットとオペレーションプロセスが大きなリスクに直面していることを特定できるよう、変則データと故障前データのサインを検知しします。潜在的懸念事項を初期に特定することは、企業が限られたリソースとアセットをよりコスト効率的に利用し、装置の稼働時間を最大化して品質とサプライチェーンプロセスを向上させるために役立ちます。

このPMQi IIoTアセットマネジメントソリューションはクローズドループとすることも、クラウドと通信させることも可能です。このソリューションは以下のコンポーネントを含みます(図2)。

  • PMQi Cognitive Gateway (ADLINK MATRIX MXE-200i)
  • PMQi Industrial Appliance (ADLINK SETO-1000)
  • PMQ Analytics Platform (IBM製ソフトウェア)
  • Vortex Data Distribution Service (PrismTech)


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Figure 5: ADLINK MXE-200i IoTゲートウェイは堅牢でコンパクトな産業用ゲートウェイです。

この、アプリケーション対応のゲートウェイはIntel® IoT Gatewayの設計を参照しており、新旧の産業デバイスがIoTに安全に接続されるようサポートします。この設計は、ネットワーキング、エンベデッド制御、安全性、管理性のためのテクノロジーとプロトコルを提供するものです。

PMQi Cognitive Gatewayの今後のバージョンはIntel® IoT Gateway Technologyをサポートする予定です。このアップデートにはWind River® Intelligent Device Platform XT 3.1がと、新たにプラグアンドプレイの製品と性能へのサポートが含まれます。これらの製品にはIntel® IoT Gateway Software Suiteプロダクト群、Intel® IoT Gateway Developer Hub、Intel® IoT Platform marketplace、Intel® Package Repositoryが含まれます。

MXE-200iはEMI/EMS (EN61000-6-4,61000-6-2)規格対応です。またMXE-200iは最大100Gのオペレーション衝撃耐性があり、-20°Cから70°Cまでと幅広い気温に対応します。接続ではGbE LANを2つ、COMポートを2つ、USB 2.0ポートを2つ、USB 3.0ホストポートを1つ、独立デジタル入力を4つ(オプション)、割り込みサポートのある独立デジタル出力を4つ、mSATAドライブ1つをサポートするデュアルmini-PCIeスロットを搭載しています。USIMソケットはWi-Fi、Bluetooth*、3G、LTEの通信オプションをサポートします。

PMQi Industrial Appliance

過酷な条件にも完全に適合するADLINK’s SETO-1000 Extreme Outdoor Serverは製造中に流れているデータ(Data in Motion)を分析し、工場フロアの意思決定を迅速化して製造データ保管の一元を促します(図6)。このユニットはNEBSの衝撃および振動要件を上回り、-40°Cから55°Cの気温で稼働できること、IP65の水およびダスト侵入レーティングがあることが特徴です。このSETO-1000はファンとフィルターを排除することでメンテナンスコストを削減し、懸念事項がなく、天候耐性があり、銅線またはファイバー線のオプションで高速接続を実現しています。


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Figure 6: 堅牢なADLINK’s SETO-1000 Extreme Outdoor Serverは製造中に流れているデータ(Data in Motion)を分析し、工場フロアの意思決定を迅速化します。

Extreme Outdoor Serverは、現在はIntel® Xeon®プロセッサーE5-2400 v2製品ファミリーのシングルおよびデュアルソケットの両方がベースとなっており、アプリケーションプロバイダーがネットワークのエッジにあるデータセンターでパフォーマンスすることを可能にします。今年度後半、このサーバーはよりエネルギー効率の高いパフォーマンスへの進化するため、Intel 14 nm処理テクノロジーとIntel Skylakeマイクロアーキテクチャを用いたIntel® Xeon®プロセッサーE3-1500 v5製品ファミリーの提供を開始する予定です。

PrismTech Vortex データ配信サービスプラットフォーム

Vortexは、レガシーアプリケーションとサードパーティアプリケーションをシームレスに統合し、100以上の異なる通信技術によるコネクターをサポートする、プラットフォーム独立型のソリューションです。オープンアーキテクチャAPIがサードパーティの開発した環境、フレームワーク、解析ソフトウェアの統合を可能にしています。

このVortexのプラットフォームはVortex Device、Vortex Cloud、Vortex Gatewayプロダクトスイートで構成され、特有のニーズに対応する幅広い能力を備えています。Intel® Quark Microcontroller D1000やD2000のようなマイクロ制御ベースセンサーとシステム上にも搭載可能な400キロバイトサイズのソフトウェアモジュール、Vortex Liteも存在しています。

アセットマネジメントとオペレーショナルパフォーマンスの最適化

ADLINK PMQiプラットフォームはエッジのデータを集めて解析し、クラウドでのビッグデータ分析を可能にするための包括的なIIoTアセットマネジメントソリューションを提供しています。このソリューションを使用することで、組織は供給停止の事態に至る前に素早く異常を特定して潜在的な機能不全を検知することができ、予知保全を使用してコストのかかるダウンタイムを回避することが可能になります。

ADLINK MATRIX MXE-200i IoT Gatewayについて詳しくは、intel.com/SD-adlink-mxe-200iをご覧ください。ADLINK SETO-1000 Extreme Outdoor Serverについて詳しくは、intel.com/SD-adlink-seto-1000をご覧ください。

産業オートメーションのネット接続、強化、最適化についてより詳しく知るには、intel.com/embedded-industrialをご覧ください。

ADLINK Technology(intel.com/MR-adlink)はIntel Internet of Things Solutions Allianceのプレミアメンバーです。ADLINK Technologyは、エッジデバイス、インテリジェントゲートウェイ、クラウドサービスのための革新的なソリューションを使ったモノのインターネット(IoT)を実現しています。ADLINKの製品は工業オートメーション、通信、メディカル、防衛、運輸、インフォテインメント産業向けのアプリケーションに対応しています。製品としてマザーボード、ブレード、シャーシ、モジュール、業界標準フォームファクタ採用システムのほか、幅広い製品の試験測定製品、スマートタッチコンピューター、ディスプレイ、持ち運び端末を扱っています。多くの製品は非常にに堅牢で、広い温度帯、衝撃、振動に対応しています。

IBM(intel.com/MR-ibm)はアライアンスの一般メンバーです。

フォグの中でクリアな視界を

速に発達しているモノのインターネット(IoT)。一方で、その課題も初めて明らかになってきました。接続されたモノの数と、それに伴って発生するデータ量が急増したことでワイヤレスネットワークに負荷がかかり、ビジネスでのクラウド処理や、ストレージにかかるコストが増大しています。そして、重要なインフラでリアルタイム解析を行う能力に隙間が生じるのです。このような課題を克服するために、IoT業界の多くの企業が分散コンピューティング、分散ストレージ、そして「フォグコンピューティング」と呼ばれる解析システムアーキテクチャモデルを採用しています。

本稿は、フォグコンピューティングとその有用性を取り上げます。はじめに新たなシステムアーキテクチャ仕様による分散解析への手引きについて検討します(図1)。Intelが、再利用可能でスケーラブルなIoTのための基礎的要素となるテクノロジーと製品をどのように供給しているかを検証します。このようなソリューションがIoTの導入を可能にし、ネットワーク内の演算能力を簡単、安全にスケーリングすることができるうえ、演算能力を最大化することを見てゆきます。さらにSAPとの連携を含む使用例を検証します。最後に、Intel® Internet of Things Solutions Allianceのメンバー企業がIoTソフトウェア、コンポーネント、システムを提供することでフォグコンピューティングのために果たしている役割について触れます。


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Figure 1: このIntelのシステムアーキテクチャー仕様は、エンドツーエンドのIoT分散解析の手引きとなります。

IoT成長の問題点

市場調査会社のIDCは、2020年までにIoTが包含するIP接続端末の数は500億を超え、センサーの数は2120億を突破すると予測しています。今後5Gが導入され、幅広い帯域とリモート接続の低レーテンシー化が実現しても、この成長は継続することが見込まれます。

あらゆるデバイス接続がデータを増やします。CiscoはInternet of Everythingと題したプレゼンテーションで、2014年時点で世界のデータは1日あたり2EB(エグザバイト)超、すなわち4TB(テラバイト)のハードディスク50万個に相当すると報告しました。ここに引用した数値からは、データが非常に簡単に蓄積してしまうことが見て取れます:

  • アメリカにある4600万のスマートメーターでは、1日に11億のデータポイントが発生
  • 1つのパッケージ製品を製造する機械では、1日に130億のデータサンプルが発生
  • 飛行中の旅客機は、30分ごとに10TB(テラバイト)のデータを生成

世界がデータであふれる現状から、IDCは3年以内に50%のITネットワークがキャパシティー超過によってネットワーク制限に移行すると予想しています。ウェブサイトの10%近くがダウンしてしまうでしょう。

ファストデータのスピードアップ

フォグコンピューティングが注目されるもう一つの要因は「ファストデータ」、つまりリアルタイムアナリティクスを要求するデータへのニーズです。正確なオペレーションや制御を行うためにIoT制御装置を採用する工場などは、コストのかかるミスや廃棄を抑制するために反応の早いIoTループを求めています。スマートグリッドで障害を検出、隔離し回復させるアプリケーションには、業務を中断させることのないインスタントな反応が求められます。自動車の走行制御に対応するシステムには、車間距離をミリ秒単位で調整する能力が要求されます。

それほどクリティカルなデータでなくとも、早い反応が必要です。例えば、顔認識によって制御されるドアも、テナント入居者が快適に利用するためには瞬時に動作する必要があります。

フォグコンピューティングが有利な理由

フォグコンピューティングは、演算、コミュニケーション、制御、ストレージ、各種サービスをエッジデバイスやシステムに近づけることができます。タスクを処理するエッジツークラウドスペースにフォグコンピューティングを導入することで、しばしば自主的に、かつリアルタイムに(または限りなくリアルタイムに近い形で)ローカルでの業務意思決定が可能となります。

フォグコンピューティングのエッジ解析とフィルタリングで、データの選択的な送信が可能になります。これは多くのアプリケーションに有用なストラテジーです。例えば、クラウドに毎秒データを送信する温度センサーであれば、フォグコンピューティング導入でデータのサマリと、ビジネスインサイトに貢献しうるデータだけを転送することが可能になります。このような形で、ネットワークトラフィックとクラウドにかかるコストが減少します。

2015年11月、IoTの牽引役であるIntel、ARM、Cisco、Dell、Microsoft、Prin- ceton University Edge Laboratory はフォグテクノロジーの発展を加速させることを目的とするコンソーシアム「OpenFog Consortium」を結成しました。Intelは、Intel®システムアーキテクチャ仕様(SAS)に提携し、完全な互換性のある分散解析の導入の方針を提示しています。

Intel®システムアーキテクチャ仕様(SAS)

Intel SASは、ネイティブなインターネット接続であるかに関わらず、ほとんどあらゆるタイプのモノをクラウドに接続するための手引きを提供しています。開発者がこの仕様書を利用してIoTソリューションの開発、実装を行うことにより、インフラストラクチャー解析、シームレスなデータ収集とデバイスコントロール、自動的なデバイスディスカバリーとプロビジョニング、グローバル規模のセキュリティによってもたらされるIoTソリューションの価値が実現できます。

Intel SASは、2つのIntel® IoTプラットフォームリファレンスアーキテクチャを組み込んでいます(図2):

  • Intel® IoT Platform Reference Architecture for Connecting the Unconnected。統合されたインテリジェンス、セキュリティー、インターネット接続を持たないレガシーのモノを接続に、IoTをゲートウェイとして使用するためのガイドアーキテクチャです。
  • Intel® IoT Platform Reference Architecture for Smart and Connected Things。スマートなモノがクラウドとシェアするリアルタイムでクローズドループ制御なデータと、スマートなモノとの接続にフォーカスしたアーキテクチャです。

この2つのリファレンスアーキテクチャは、エッジ解析、基準のアラインメント、クラウドにダイレクトに接続する制御を可能にすることでエンドポイントのモノにインテリジェンスを与えます。開発者がこのリファレンスアーキテクチャを使用すれば、効率、カスタマーエクスペリエンス、意思決定を向上させるために最も有用なデータを分析するストラクチャーを構築することができます。


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Figure 2: Intel® によるこのシステムアーキテクチャ仕様は、2つのIntel® IoTリファレンスアーキテクチャを含み、時間とともにインテリジェンスとIoTの価値が上昇するよう設計されています。

つながっていないモノの接続

Intel IoT Platform Reference Architecture for Connecting the Unconnectedは、Intel® IoTゲートウェイテクノロジーに基づき、IoTゲートウェイソリューションによる分散解析に取り組んでいます。この技術はセキュリティー、インテリジェンス、インターネット接続を持たないエンドポイントのモノを接続します。この技術を利用したアプリケーションがゲートウェイで動作する際、取りこんだデータは正規化し、保護されます。また、どの程度の量のデータを、どのタイプのデータをクラウドに送るか、どのデータに早急なローカルのアクションが必要かといったこともアプリケーションが決定できます。

Intel IoTゲートウェイテクノロジーによるソリューションは、増大するデータをフォグに吸収させ、エッジデータをイミディエート値に変換することでIoTのインフラストラクチャー全体を強化します(p6、図3)。Intel®プロセッサーの幅広いラインナップを利用し、ゲートウェイは解析、フィルタリング、データ収集までのあらゆるタスクをサポートするスケーラブルなパフォーマンスを提供します。


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Figure 3: フォグコンピューティングにおいては、Intel® IoT Platformのデータレイヤーがモノ、ネットワーク、クラウドを横断して解析と制御の配信に重要な役割を果たします。

管理可能性

Intel IoT Platformリファレンスアーキテクチャには、デバイスクラウド全体におよぶ管理レイヤーが敷かれています。このデバイス管理プラットフォームはエンドポイントのモノが自動的にディスカバリーとプロビジョニングを行うため、大規模なスケールにおけるデバイス実装の展開や構築の複雑さを軽減します。管理されたモノと管理エージェントが、管理タスクの実行と通信をクラウドプラットフォームを介して行います。デバイスクラウドは、ゲートウェイを通すことでクラウドに直接接続されていないモノを管理することも可能になるのです。

エンドツーエンドのセキュリティー確保

強固なセキュリティーを備えることができなければ訴訟や社会的な反感を招き、IoTの成長を見込むことはできません。エンドツーエンドのプロテクションを実現するため、Intel IoT Platformリファレンスアーキテクチャには、エンドポイントのモノからネットワーク、クラウドまで対応する最上級のセキュリティオプションが含まれています。

McAfeeを傘下としたIntelのSecurity Softwareは、すべてのIoTレイヤーに相互運用性があり、スケーラブルなセキュリティソリューションの作成を支援する包括的なセキュリティーソフトウェアコンポーネントを提供しています。例えば、McAfee Integrity Control*はエッジデバイスのモニタリング、管理、タイトなセキュリティポリシーの強制を行います。McAfee Embedded Control*のセキュリティテクノロジーはIntel®プロセッサーによるハードウェアベースの重要なセキュリティと、アプリケーションソフトウェアのセキュリティを緊密に統合することで移動中および保存されたデータを保護します。またMcAfee ePolicy Orchestrator*はセキュリティポリシーコントロールの自動化と、コンプライアンスレポートを簡略化に寄与します。

Intel®のプロセッサーに搭載されたハードウェアベースのセキュリティ機能は、セキュリティに新たな次元を提供しています。実績あるソリューションとして、Intel® vProテクノロジー、Intel® Trusted Execution Technology(Intel® TXT)、Intel® Advanced Encryption Standard New Instructions(Intel® AES-NI)、Intel® OS Guard、Intel® Software Guard Extensions、Intel® Trusted Platform Module(TPM)、Intel® Platform Protection Technology with Boot Guard、BIOS Guardなどがあります。

盛り上がるフォグコンピューティング

企業向けアプリケーションソフトウェアを牽引するSAPは、遠隔地の油田とガス田のビジネスワークフローを生成し、また従事する労働者の安全性をモニターするリアルタイム解析ソリューションの開発に際し、Intel IoTプラットフォームリファレンスアーキテクチャの設計を使用しました(図5)。このソリューションのフォグレイヤーはIntel®のプロセッサーを搭載したインテリジェントなモノを使用して、ネットワークとIntel IoTゲートウェイテクノロジーを採用するゲートウェイにデータをフィードしています。SAPのリアルタイムアナリティクスとIntelのデータマネジメントソリューションを動作させるのはこのようなゲートウェイです。

SAP* Streaming Liteテクノロジーは、エッジに複雑なイベント処理能力を持たせます。ゲートウェイにホストされるアプリケーションサーバーが、データのビジュアル化とブラウザインターフェースを提供します。SAP* Remote Data Syncソフトウェアは、クラウドベースにレポートするWAN(ワイドエリアネットワーク)リンクが遅い、あるいは途切れがちであってもSAP HANA* Cloud PlatformとバックエンドSAPインテグレーションとのデータ同期を実現します。


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Figure 5: SAPによる遠隔地の油田およびガス田のビジネスワークフローマネジメントと労働者の安全モニタリングのためのリアルタイム解析ソリューションでは、Intel IoTプラットフォームが設計図を提供しています。

このSAPソリューションで、機械の故障やアクシデントへの素早い対応が可能になります。例えば、ウェアラブルセンサーで労働者に危険なガスの存在を警告することができます。監督者のコンピュータデバイスにもリアルタイムアラートが現れ、ダッシュボードアプリケーションでガスレベルと他の現場労働者の生体識別情報を把握することが可能です。さらにウェアラブルセンサーを追加し、うつぶせや静止状態の労働者がいる場合に監督者に知らせることもできます。

アクシデントに見舞われた労働者が救出されると、すぐにこのイベントに関するデータをクラウドに送りSAP HANA Cloud Platformを使用したトレンド分析を行うことが可能です。他の採掘プラットフォームの類似インシデントと比較することで管理者がパターンを認識し、原因をより深く理解して対策を講じることができるのです。

このソリューションで使用されたコンポーネント、すなわちセンサー、ゲートウェイ、ローカルおよびクラウドのアナリティクスは、他にもさまざまな方法で使用することが可能です。例えば温度と圧力のデータは、故障寸前であることを示す変化をメンテナンス担当者にリアルタイムで警告することで、デリケートな機械類をより長時間稼働させるために役立てることができます。イベントデータは後からクラウドで分析にかけられ、予防的なメンテナンス戦略を生成します。

フォグ構築の担い手

フォグコンピューティングの普及に向けたIntelの活動を、アライアンスメンバーである500以上の企業がサポートしています。これらのアライアンス企業が、この世界で最も有名かつ実績あるテクノロジーエコシステムの一部としてIoTインフラストラクチャーの構築の基礎となるスケーラブルなハードウェアとソフトウェアを提供しています。オープン標準とオープンプラットフォームを通じて、Intelとアライアンス企業はIntel SASを利用して思いのままにIoTビジョンを実現しうる、競争力あるソリューションを開発者に幅広く提供しています。

フォグコンピューティングとは何か

従来のクローズドなシステムとクラウドオンリーモデルを脱するアーキテクチュアルな進化として、フォグコンピューティングはIoTの成長に伴う多くの課題を解決しています。フォグコンピューティングはネットワークとクラウドのコストを大幅に削減し、レスポンス時間を短縮するために、クリティカルなデータアナリティクスをソースにより近い場所で実行します。Intelはアライアンスや他の企業と共に、Intel SASと2つのIoTリファレンスアーキテクチャを通じてフォグに関わる全産業がその利点と恩恵を享受できるよう支援しています。

Intel® IoT Solutions AllianceによるIoTソリューションについて詳しくは、intel.com/iotsolutionsalliance-sdをご覧ください。

安全でスケーラブルなIoTソリューションを用いたモノのインターネットと分散解析の利用について詳しくは、 intel.com/embedded-iotをご覧ください。

モジュラーコンポーネントから市場にすぐに投入できるシステムまで、Intelと500以上におよぶIntel® Internet of Things Solutions Allianceのグローバルメンバー企業は、スケーラブルで相互互換性のあるソリューションを提供し、インテリジェンスデバイスやエンドツーエンド解析の開発を加速させます。IntelとAllianceメンバー企業が密接に連携することで、メンバー企業が最新のモノのインターネット(IoT)テクノロジーにより革新を起こし、顧客に価値あるソリューションを市場に初めて投入するための開発を支援することが可能になります。

産業向けのモノのインターネット (IIoT) 鉄道システムにおけるデータベースの活用

鉄道システムで生成されるデータの増加に伴い、開発者は情報をどこでどのように処理するかの再考を迫られています。 レガシーシステムではデータをコントロール・センターに送信して分析していましたが、最新システムでは、この機能はしばしば列車に搭載されています。

こうしたフォグ・コンピューティング手法における課題は、列車上のコンピューターに多大な負荷がかかることです。 コンピューターの負荷が増加するだけでなく、データをローカルで保持する必要があるため、ストレージの問題も出てきます。

これら双方の問題を解決に導くのが、スマート・データベースです。 データベースは、適切に構成すれば処理とストレージのニーズを低減させることができます。

フォグへの転換

フォグ・コンピューティングは、鉄道システムに数々の恩恵をもたらします。 フォグ・コンピューティングの構成により、列車上のコンピューターはリアルタイムの計算とすばやい処理が可能になります。 列車レベルでの処理の後、データはコントロール・センターに移動して、システム全体の傾向分析が実行されます。

予測メンテナンスは、鉄道システムが受ける恩恵のよい例です。列車内の分析では、軸受の問題について音響データを監視し、ブレーキの問題について温度センサーを監視し、RFID や写真データの追跡などにより、問題の起きる可能性を特定車両に結び付けることもできます。

その処理に、管理安全上のサブシステム (消防、デジタルビデオ監視、エアコンディショニングなど) を利用することもできます。

線路を走るデータベース

データベース管理システム (DBMS) は、こうした機能すべてに不可欠です。適切な DBMS の選択は、設計上の重要な決定事項となります。

SQL データベースも賢明な選択ですが、SQL の高度に組織化された自己参照構造は、比較的大規模なストレージ領域と処理能力を使用します。

最も重要なのは、SQL ほどの機能が必要ないという点です。 「ほとんどの場合、エッジデバイスに高度な SQL データベースは不要です」と、McObject 社の共同設立者兼 CEO の  スティーブ・グレイブス氏は語ります。 エンドユーザーにはデータベースが表示されないため、SQL の多くの機能は不要です。 それと同様、スケーリングも一般的には大した要素ではありません。 いずれ列車に新たなサブシステムが搭載されるようになっても、必要とされるものが大きく変わることはないでしょう。

「エッジデバイスに、高度な SQL データベースは不要です」
— スティーブ・グレイブス氏 (@McGuy)、McObject 社 (@McObject
) 共同設立者兼 CEO

NoSQL を使用したものなど、書式の厳密でないデータベースを使用するという手もあります。 しかしこれらのデータベースには、もともとデータの妥当性確認の機能がないため、妥当性確認はデータ収集デバイスが行うことになります。 もし適切な設定がなされなければ、誤ったデータが入力されてしまいます。データが無駄になるだけなら、まだいい方です。

グレイブス氏によれば、組み込みに特化したデータベースを使用するのが得策です。 最適な設定は、「適用可能な NoSQL データベースの属性を共有」するとともに、「SQL でない低レベル (およびタイプセーフ) の固有のプログラミング・インターフェイスを提供する」ことであると、同氏は見ています。 これらは通常 SQL より速く、プログラムへのアクセスが簡単で、なおかつ場所を取りません。

グレイブス氏はその一例として、McObject 社のインメモリー・データベース・システム、eXtremeDB を挙げています。 SQL と NoSQL の両方の世界から作り上げたハイブリッド・アーキテクチャーを使用することで、eXtremeDB は堅牢な軽量データベースを提供します。

グレイブス氏は、このデータ構造ではリソース消費が最小限になるため、展開コストも最小限に抑えられると言います。 軽量データベースによって、顧客はより安価なプロセッサーでことを済ませられるようになり、エッジデバイス上で必要なシステムメモリーも少なくなります。

セキュリティーが最優先

よかれあしかれ、今日セキュリティーは、あらゆる組み込みシステムになくてはならないものになっています。 鉄道システムも例外ではありません。

eXtremeDB は組み込みシステム専用に開発されたため、データ完全性は当初から最優先事項であったと、グレイブス氏は語ります。 eXtremeDB が SSL 経由のセキュアな通信をサポートし、データベースのコンテンツを完全に暗号化できるのは、当然のことなのです。

DBMS は、タイプセーフなプログラミング・インターフェイスも提供します。 このインターフェイスは、データベース破壊で最もよくある原因、すなわち、実行時データベースとアプリケーション間でデータを受け渡す汎用ポインターを使用しません。

eXtremeDB も同様に、信頼性を最大化するよう設計されています。 例えば、データベースが eXtremeDB High Availability Edition というフォールトトレラント・バージョンなら、 その実行時には、ホット・フェイルオーバーを実現する複数の同一データベースが維持されます。 一般的な構成には、以下のものがあります。

  • 単一ハードウェア上の複数の処理またはスレッド
  • シャーシ内の 2 台以上のボード
  • LAN 上の複数コンピューター

鉄道に対応したハードウェア

どのようなハードウェアを選択するにせよ、鉄道システムには優れた耐久性が必要です。 列車は揺れがつきものな上、加速に減速、あらゆる天候も切り抜けなくてはなりません。 もちろんコンピューターにも、データ処理に十分な馬力が必要です。

そうした条件を満たすソリューションの 1 つに、Nexcom 社の NROK 1020 Train Computer (図 1) があります。 クアッドコアのインテル® Atom™ x5-E3930 プロセッサーを搭載したこのマシンは、鉄道アプリケーションに必要なパフォーマンス、I/O、信頼できる耐久性を備えています。
さらに、最新世代のインテル® Atom™ プロセッサーは、システムの安全性を維持するための多数の新型セキュリティー機能とハードウェア支援型暗号化機能を備えています。

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図 1. 鉄道システムに実装できる nROK 1020 Train Computer (出典: Nexcom)

それぞれの設計目標を満たす

データベースは、鉄道システムの構築時に最初に頭に浮かぶものではないかもしれませんが、それでも見過ごすわけにはいきません。 組み込みシステム専用のスマート・データベースを使えば、複数の設計目標を達成することができます。 ハードウェアとストレージのコストを抑えたハイパフォーマンスの実現、通信トラフィックの最小化、高い信頼性などが、それに当たります。 こうした利点が得られる可能性を考えれば、組み込み型データベースは検討の価値があります。

リモートアセット管理に欠かせない IoT ゲートウェイ

極寒の北海油田で採掘装置を連続稼働させたり、酷暑のサハラで携帯電話の基地局を常時作動させるのは、実に困難なことです。 こうした隔絶された過酷な環境では、装置の寿命が短くなり、想定どおりの性能が得られないことが多く、当然、収益にも影響します。

誰にでも思いつくソリューションはリモート・モニタリングですが、実際に行うのは必ずしも容易なことではありません。 従来のセンサーやネットワークの制約が装置のモニタリングの足かせとなるからです。

そこで効果を発揮するのがアセット管理ゲートウェイです。 IoT ゲートウェイを使用すれば、既存のセンサーからデータを収集し、新たなセンサーを容易に追加できます。 ゲートウェイはデータをローカルで処理し、修正アクションを自動的に実行できます。 さらに、データをクラウドに転送することで、より深いビジネスインサイトが得られます。 その結果、修理対応の件数が減少し、装置の効率が向上します。

アセット管理が重要な理由

装置のモニタリングは、なぜそれほど重要なのでしょうか? 石油・ガス業界では、利益の約 77% を採掘現場から得ているといわれています。 その金額は 1 つの油田で 1 時間当たり最大 5 万ドル (約 600 万円) に達します。

不具合が発生すると、エンジニアが油田に到着するまでに数百万ドル (数億円規模) の利益を失うことになります。 また、小さなバッテリーから大型の機械まで、頻繁な装置点検にも多大な時間と労力が必要になり、もっと利益を生むはずの作業に従業員を集中させることができなくなります。

携帯電話の基地局の運用も同様です。 センサーが発信装置のオフライン状態を検出すると、メンテナンス・スタッフが何度も現場に出向いて問題を診断し、解決しなければなりません。
サービスが中断すると、顧客満足度が低下し、ブランドの評判を損なう結果になります。

リモートアセット管理を妨げる障害

こうした問題を解決するには、まずデータを集める必要があります。それは、従来のセンサーの制約に対処しなければならないということを意味します。 従来のセンサーは多種多様な (多くは独自の) プロトコルを使用しているため、データを集めるだけでも一苦労です。 さらに、こうした従来のセンサーでは、装置のパフォーマンスや健全度を判断するための情報が得られない可能性があります。

インターネット接続にも困難がつきものです。 辺鄙な場所では接続が途切れがちで、帯域幅も限られています。

次のステップはデータの処理です。 最終的には、データをローカルで分析して応答することで現場対応の削減を目指します。 ここで課題となるのが、ローカル・ハードウェアにインテリジェンスを与えて自律動作させることです。 このインテリジェンスによって、定義したパラメーターの範囲内で装置の機能停止を特定し、アラートと修正アクションを自動的にトリガーさせなければなりません。

アセット管理ゲートウェイの導入

アセット管理ゲートウェイは、こうした課題にすべて対応するように設計されています。 新旧のセンサーとクラウドをつなぐブリッジを構築することで、 直ちに対策が必要な信号にローカルで対処し、データをクラウドに転送して効果的なビジネスインサイトをもたらします。

こうした IoT ゲートウェイで動作するアセット管理ソフトウェアは、変更可能なルールエンジンを採用しています。 技術者は、緊急性の高い障害のアラート、効率を高めるための調整、バックアップ装置の起動、装置ステータスの定期的な通信など、自動アクションのしきい値を設定できます。

IoT ベースのアセット管理ソリューションには、以下のような利点があります。

  • 自動応答 – ゲートウェイは設定したルールに従ってリアルタイムで装置を管理し、装置の損傷やサービスの混乱を回避できます。
  • 途切れがちな通信への対応 – インテリジェントなゲートウェイはデータをローカルでフィルタリングして保管できます。このため、必要な帯域幅が最小限になり、信頼性の低いネットワークにも対応できます。
  • ダウンタイムの短縮 – 予測分析によってメンテナンス・スケジュールを最適化し、予期しないパフォーマンス問題とサービス障害を削減できます。
  • エネルギーの節約 – エネルギー消費量を可視化できるため、装置のパフォーマンスを最適化して無駄を減らす新たな戦略を立てることができます。
  • アセット寿命の延長 – 装置の仕様を最適化し、事前対策的なメンテナンスを施すことで、装置の寿命を延ばすことができます。
  • 現場セキュリティーの強化 – 役割と時間をベースとしたアクセス権限により、現場で不正なアクセスを自動的に検出し、入室時間や退室時間を追跡できます。

異常にすぐ対応できるソリューション

こうした利点は 例えば azeti 社が提供する IoT ベースのリモートアセット管理ソフトウェアによって得られます。さまざまな業界の複数のユースケースに対応し、 ゲートウェイとクラウド・ソフトウェアを提供します。 ゲートウェイ側では、現場コントローラー・ソフトウェアに幅広いプロトコル変換機能と自動アクションを制御する構成可能なルールエンジンが搭載されています (図 1)。

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図 1. 携帯電話の基地局などの遠隔サイトに大きな効果を発揮する azeti 社のソフトウェア (提供: インテル)

ソフトウェアには、クラウドで追加分析を行うための具体的なデータを選別するフィルタリング機能が組込まれています。 ある事例では、azeti 社のソフトウェアは 20 個のセンサーから温度データを取得しながらも、平均温度のみをクラウドに送信することで データトラフィックを最大 98% 削減できました。

このようにデータを削減することで、ゲートウェイは 1 年分のデータを保管できるようになります。 また、このフィルタリングによって、遠隔環境では難しい常時接続が不要になります。

クラウド側では、azeti 社のコントロール・パネルを使用することで、多数のゲートウェイを含む大規模展開を一度に構成・更新できます。 また、このメカニズムによってネットワーク内のすべてのセンサーも構成できます。

コントロール・パネルを使用すると、燃料、バッテリー、扉、発電機、冷却装置やその他の機器に新しいモジュールをすばやく導入できます。 さらに、このコントロール・パネルは既存のダッシュボードに簡単に統合できるように設計されています。

堅牢なゲートウェイ

ハードウェア面では、インテル® プロセッサーを使った堅牢なゲートウェイでソリューションを構築しています。 Advantech のARK-1124 IoT ゲートウェイはその一例です (図 2)。 このファンレスのソリッドステート設計により、極寒、酷暑、多湿、多塵など、過酷な環境に耐えることができます。

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図 2. 堅牢な設計が特徴の Advantech ARK-1124。 (提供: Advantech 社)

前世代比で最大 1.7 倍の高速化を実現した最新のインテル® Atom™ プロセッサー E3900 シリーズを採用することで、これらのゲートウェイは複雑な分析およびフィルタリング・タスクを容易に処理できます。 プロセッサーはオプションで -40° ~ 110°C という過酷な温度範囲にも対応し、デュアルチャネル ECC メモリーで信頼性を最大限まで高めています。 さらに、チップは強化されたセキュリティーをほぼあらゆるレベルで提供し、遠隔アセットの安全を保ちます。

遠隔地の装置にもアセット管理を導入する

アセット管理ゲートウェイは、アクセスが困難な場所に設置された装置の運用を大幅に改善し、コスト削減をもたらします。 インテリジェンスを末端まで適用することで、azeti 社をはじめとした各社のソリューションは、ほぼあらゆるフィールドでコスト削減とパフォーマンス改善をスマートに達成します。

スマートシティー・アプリケーションの規模を容易に調整できるコンテナー化テクノロジー

スマートシティーには規模の拡張という興味深い問題があります。 照明、緊急サービス、水処理など、アプリケーションは無限にあり、それぞれが無数のエンドポイントと関連しています。

こうした大規模なシステムに合わせてスケールを調整できるアーキテクチャーを設計するのは非常に困難です。 異なるシステム間でも運用できるように調整するのも至難の業です。

そのため、IoTium 社をはじめとするさまざまな企業が、コンテナー化ソリューションと仮想化ネットワークを提供しています。 こうしたテクノロジーは、IoT サービスやアプリケーションの展開やオーケストレーションで大きな役割を果たします。

IoT の展開にまつわる問題の特効薬

IoT アプリケーションを実用的にするには、都市においてできるだけ展開しやすいものにする必要があります。 IoTium 社の創設者兼 CEO のロン・ビクター氏はそのあたりの事情をうまく表現しています。「誰もテクノロジーのことなど気にしていません。 機械を接続するだけで、すべて問題なく動作する。 どのようなテクノロジーを使って実現するかなんて、大多数の人にとってはどうでもいいことなんです」

システムの更新についても同じことが言えます。 新しい機能もアプリケーションもボタンをクリックするだけで展開できなければなりません。  「変更が発生するたびに現場に出向かなくてはならないようでは、ビジネスは成り立ちません」

セキュリティーも必須です。 データは元々あった場所でも、ネットワーク間を次々と移動する間も、最終的な保管場所でも、常に安全に保護されなければなりません。 「安全性が 99.999% 保証され、誰もデータを盗難したり、別ルートでアクセスすることができないよう対策をとる必要があります」とビクター氏は語ります。

移植性に優れたコンテナー化テクノロジー

簡素化とセキュリティーの必要性を認識した IoTium 社は、ソフトウェア・デファインド IoT インフラストラクチャー・ソリューションの基盤にコンテナー化を採用しました。 IoTium 社のソリューションは主に 3つの要素で構成されています。

  1. IoT エンドポイントのコンテナー化
  2. 異なるネットワーク間の通信
  3. ノータッチ展開が可能な一元オーケストレーション

これらの要素によって、セキュアな IoT 展開と、プロビジョニング、エッジ分析を大規模に行うために必要な可視性と制御性が実現できます (図 1)。

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図 1. 従来のシステムを大規模に接続できる IoTium 社のソリューション (提供: IoTium 社)

このソリューションで特に重要なのがコンテナーです。コンテナーはアプリケーションを想定どおりに実行するための安定した環境を確保するという役割を果たすからです。 コンテナー化テクノロジーで最もよく知られているのはオープンソースの Docker プロジェクトです。 Docker は、異なるハードウェア間で自動的に展開するのに使われます。この機能を実現するのが Docker エンジンの一部であるアブストラクション・レイヤーです。

IoTium 社最高技術責任者のダワール・チャギ氏は「ハードウェアの抽象化は従来型の多くのインフラストラクチャー・タイプを格納することができるので、都市にとっても大きなメリットです。 ネットワーク内の異なるシステム間を行き来するのが非常に容易になります。 システム間のささいな違いなど気にする必要はありません」と語ります。

コンテナーと仮想マシンには多くの類似点がありますが、 図 2 に示したように、コンテナーは単一の OS を共有する点が異なります。 このため、コンテナーは仮想マシンよりはるかにサイズを小さくできます。

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図 2. 単一の OS を共有する点が仮想マシンと異なるコンテナー (提供: Docker)

Docker は、仮想マシンを一戸建てに、コンテナーをアパートに例えています。 一戸建てには、それぞれインフラ (水道、電気、暖房、セキュリティーなど) が個別に備えられています。 これに対し、アパートはインフラを共有しており、 居住者 (テナント) はそれぞれ必要なリソースのみを借りる形になります。

このため、構築プロセスが大きく違ってきます。 仮想マシンでは、まずフル機能を持った OS を用意し、その後で不要なコンポーネントを外していきます。 コンテナーでは全く逆のプロセスです。基本的なコンポーネントからスタートして必要なものだけ追加していきます。 このため、コンテナーはコンパクトに保つことができます。

コンテナー内部のセキュリティー

マルチテナント・アプローチはセキュリティー向上にも効果的です。 互いに完全に隔離された状態のコンテナーに、別々のカスタムロジックとポリシーを適用できます。

IoTium 社は、通信レイヤーのセキュリティーも重視しており、各テナントアプリのデータをトンネリングして専用の送り先に直接送ります。 このため、DDoS 攻撃やデータのリルートのリスクを下げることができます。 ハッカーがデータフローを攻撃しても、ネットワークの別の部分に手をつけることができません。同じバックエンド IP データパイプを共有している場合でもハッカーの攻撃から守られます。

「まずハッカーが侵入するという前提に立ち、次にどうすれば攻撃の影響を最小限に抑えるかを考えます。 だからこそネットワーキング・レイヤーに変更を加え、標準のネットワーキング・レイヤーよりもセキュリティーをしっかり強化しているのです」とビクター氏は説明します。

デバイス、サーバー、クラウド・プラットフォームの違いにかかわらずシームレスに接続して通信できるように設計されています。 そのため、ハードウェアや、ネットワーク、プロトコルの違いにかかわらず、都市に存在する有線ネットワークや無線ネットワークを横断してデータを送受信することができます。

1 画面でネットワークをオーケストレーション

IoT アプリケーションをコンテナーにパッケージ化することで、オーケストレーションもシンプルになります。 コンテナーはエッジデバイスを視覚化するため、ユーザーは IoTium 社製オーケストレーターでワンクリックするだけで IoT サービスと分析を展開できます。

IoTium 社製オーケストレーターでは、IoT ネットワークを 1 画面で集中管理できます。 オーケストレーターはアプリストアのようなものです。その中でアプリケーションとサービスを格納して管理し、自由に展開できます。 機械学習、暗号化、圧縮などにも対応しています。

ビクター氏によると、IoTium 社のテクノロジーは以下のように核となる理念のもとで成り立っています。

  • 容易な展開、ミリタリーグレードのセキュリティーを確保する
  • 展開を簡素化する
  • 技術者がアセットに出向いてデータを取得したり、更新をインストールしなければならない現場対応やコマンドライン・インターフェイスを回避する
  • 承認に何カ月もかかる IT ポリシー設定の変更やポートを開く手間を回避する
  • 根本的なセキュリティーの脆弱性となるユーザー名やパスワードを排除する

ハードウェアの選択

IoTium 社のソリューションは、ハードウェアにかかわらず、すべてのインテル® プロセッサー搭載サーバーやゲートウェイで実行できます。 ゲートウェイの最小要件はインテル® Atom プロセッサー、256 MB の RAM、1 GB のストレージ、IP コミュニケーションのアップストリーム用のイーサネット / Wi-Fi / 携帯電話網です。

ゲートウェイは、さまざまなネットワークやアセットが IoT データを取り込むためのメイン・ジャンクションになります。 IoTium 社は、エッジまでカバーする処理と分析の拡張性を重視しています。 インテル® Atom™ プロセッサー E3900 シリーズなどのプロセッサーは、複雑な分析を行って異常のみを報告することで、ネットワーク・リソースを効率的に使用し、レイテンシーを最小限に抑えることができます。

ハードウェア・ベンダーに関しては、IoTium 社は 
Dell 社Lanner 社Eurotech 社Logic Supply 社などと提携しています。 プラットフォームの選択にあたって、IoTium 社のビクター氏は次の点を考慮するように推奨しています。

  • 数カ月分のデータを格納できる十分な容量のメモリーを確保してインターネット障害に備える
  • エッジ部分で分析を実行することで、データフローと WAN コストを最小限に抑える
  • 暗号化、パケットの詳細な検査、機械学習を実行するために処理能力に余裕を持たせる
  • 2 ~ 5 年のソフトウェア更新を継続できるパフォーマンスを確保する
  • ハードウェアの「root of trust」を確保する (IoTium 社製品では Trusted Platform Module (TPM) などの機能を活用できる)

スマートシティーの規模の調整が容易になる Docker

IoT アプリケーションを都市規模で展開するには、慎重な計画が必要です。 展開、管理、セキュリティー確保が容易にできるように設計することが成功の秘訣です。 展開、管理、セキュリティー確保の 3 つは今後も改善する余地があるものの、まずは Docker のような確立されたテクノロジーや IoTium 社製をはじめとする特定用途向けプラットフォームを選ぶことからはじめるのが良策だと言えるでしょう。